かいばしらんらん日記

自分の気になった事、ちょっとしたお話から詩など幅広い。

とある話 その1

登場人物

・海月

・貝

 

海月「ねぇ、もしこの世界があと20分で

終わるとしたらキミはどうする?」

 

貝「20分?、急になんだよ、……うーんと、

好きな食材をひたすらに口に突っ込むかな」

 

海月「ふふっ、貝らしいね。…私はね、

好きな人をひたすらに抱き締めるの」

 

貝「……

…ん?ちょっと待てくれ、その話からすると

この世界はもうすぐ終わるのか?」

 

海月「…まだ20分も経ってない」

 

貝「あぁそっか」

 

海月「あ、そうだ。今日は何日だ〜」

 

貝「4月の1日だよ?それが??」

 

海月「うーん、どう言えばいいんだろう」

 

貝「ん?何が?」

 

 

 

海月「ねぇ、貝、私ね、

今、すっごく幸せなの」

 

貝「うん。、、」

 

海月「……ということで!貝!

今から美味しいもの食べまくるぞー!!!」

 

貝「は?、ど、どうしたの突然」

 

海月「いいから!ほら、キッチン行こう!」

 

貝「う、うん」

 

海月「今日の為に作ったんですよぉぉー」

 

貝「今日の為にって、?」

 

海月「………」

 

貝「ど、どうしたんだよ」

 

海月「………貝、」

 

貝「何だよ、どうしたんだ」

 

海月「貝、、貝、貝貝貝貝ぃぃぃぃぃぃぃ」

 

貝「おぉ?!!?へ?!な、どうしたんだよ

海月!」

 

海月「大好きだよぉぉおおおおお」

 

貝「お、おう、ど、、ゆ、はぁー?」

 

海月「ごめんね許して」

 

貝「え、ちょ、な、泣くなよ!」

 

海月「うぅぅぅ」

 

貝「あぁああれだろ、さっき世界があと何分かで終わるとか嘘ついたことだろ、4月1日だから大丈夫だって!あんな可愛い嘘とかもう別に気にしねぇし!!」

 

海月「……20分、」

 

貝「抱きしめる?」

 

海月「違うの、本当はね、」

 

貝「うん、?」

 

海月「貝と20分間、抱きしめあったらね、

世界が終わっちゃうの」

 

貝「はいはい、わかったわかった」

 

海月「それでもいいと思ってたの、でも、、

やっぱり世界が終わっちゃうのは、悲しいね」

 

貝「ほら、おいで」

 

海月「いいのかな」

 

貝「何言ってんだ、いいに決まってるだろ」

 

海月「……トータルだって言っても?」

 

貝「なんの事だか知らんが」

 

海月「あーあ、……世界のみんな、ごめんね」

 

貝「困ったなぁ笑」

 

海月「貝は口に好きな食べ物入れてなくていーの?終わっちゃうよ

あと、うーん、8分12秒くらいで。」

 

貝「それは大変だな。」

 

海月「もう、信じてないんだから…」

 

貝「じゃあ、、遠慮なく。」

 

海月「………」

 

貝「………ごちそうさま。」

 

海月「もう、……食べてないじゃん」

 

貝「食べたって」

 

海月「私じゃなくて!!!

作った料理の方食べてよ!!」

 

貝「なんかもうおなかいっぱいになった」

 

海月「こ、子供かッ!」

 

貝「今これでどんくらい経ったの?」

 

海月「……いいんだよ、もう気にしないで。」

 

貝「ん、」

 

海月「っ、

 

、な、長いわっっ!!

息続かないし!!」

 

貝「世界、もう終わるんだろ?」

 

海月「……」

 

貝「ありがと、最後まで俺の事思ってくれて」

 

海月「……」

 

貝「好きだよ、エイプリルフールが過ぎたら

言いたい言葉だったんだけど、

今日で終わるんでしょ?

なら言っとかなきゃなー」

 

海月「ほんとに終わらせちゃっていいのかな」

 

貝「いいのいいの」

 

海月「あ、」

 

貝「ん?」

 

 

 

 

海月「時間だね」

 

 

私ね、

貝に言わなきゃいけない事があったんだ。

 

私ね、今日、貝が死んでしまうことを

知っていたの。

 

だから、世界を、終わらせようと思ったの。

貝が死ぬ10秒前に。

 

貝がいない世界で、私は漂っていたくないから

 

ずっと黙っていてごめんね。

 

4月1日に、世界が終わった。

 

神様も知らない、とある話。

 

[完]

 

 

(かいばしらんらん)